ビブラートがかけられない

映画が好きです

透明人間【思っていたより大分怖いぞ】

2020年7月13日鑑賞


モラハラDV彼氏が死んだと思ったら透明人間になって今も主人公を狙っているっぽい。

モラハラやDVだけでも恐ろしいのに自分にも、信じて欲しい親しい人にも見えない。非常に厄介で恐ろしい透明人間でした。


主人公が陥れられる状況は現実で同じような被害を受けている人もいるであろう状況もあり、妙にリアルで怖い。また、黒沢清的な何か怖いものが写っている訳では無いのに気味が悪いシーンも上手く使われており、わざわざそこを長く映すということはアイツがいるのかもしれないという不気味さが引き立っていた。鑑賞後も部屋の誰もいない部分が気味悪く感じる、後に残るものがある、ホラーとしてとても満足出来る映画でした。


最近話題のNetflix 呪怨 呪いの家と比べてみると、呪怨でガッカリだったことが透明人間では上手くやっていて感心しました。呪怨でも男性から女性への加害が描かれていましたが、ラストも含め妊婦への暴力や若い女性への性暴力は呪いに関係なく多くあるし、単に呪いじゃなくて男性からの暴力が怖いとしか思えなかったです。

透明人間では相手が透明であるが故によりいっそう被害を回避できない、悲惨なことになる、ということがしっかり書かれており、単に男性がというだけでなく透明人間が怖いというのがホラーとしてよくできていると思います。また、妊娠ということについては、透明人間では男が女を支配することが出来るもの、女が男から逃げられなくなるものとして描いており、男性からの暴力と共に扱う場合、呪怨よりも遥かに適切な描き方だと思いました。


ひとつ残念だと思った点をあげるとしたら、終盤主人公が透明人間をおびき出す日が豪雨なのでてっきり雨を利用して相手の場所を暴き反撃すると思っていたのですがそんなことは無かったです。まあ、ペンキのシーンもあるし、ラストが最高なので良いのですが…


最後に、彼氏役の役者さんがDVについてよく理解してラストのシーンを演じたそうで、言われてみればラストでのヤツの言動は素晴らしかったですし納得です。ミッドサマーのクリスチャン役の方もそうですが有害な男らしさに役者が自覚的であると作品のクオリティがより一層上がると思います。

日本の映画もぜひそうなって欲しいです。