ビブラートがかけられない

映画が好きです

シャン・チーとMCUの毒親たちとシンエヴァンゲリオン

シャン・チーを見ました。

 

主役のシム・リウやオークワフィナが魅力で楽しく、アクションは特に序盤に本格的なアクションシーンが詰まっており、とても見ごたえのある映画でした。

メインヴィランはテンリングスのリーダーウェンウー。トニー・レオンが格好良く、これまた魅力的なのですが、また父親が子供に迷惑をかける話かよ!と思ってしまいました。

 

MCU毒親というとまずはサノスが大きいところでしょうか。ガモーラとネビュラにしたことは誰がどう見ても虐待ですが、本編ではガモーラを殺したことと指パッチンをしたことに比べると虐待の件はぼんやり流されているように思います。それどころか被虐待児のネビュラからは死に際にだいぶ甘い対応をされています。特にエンドゲームではサノスの虐待の件はノーカンになっているような話運びになっていると思います。ネビュラがサノスを殺してよかったと思うのですけどね。

 

クイルの父親エゴもひどい父親でした。ただし、エゴに対してはその行いに対してしっかりとクイルがキレてエゴが望む道を進まず、クイル自身がエゴを殺したのでサノスと違いしっかり成敗された感じがあります。ただ、エゴは最後まで間違いを認めませんでしたが。

 

MUCで一番ひどいなと思うのはソーとロキの父親オーディンです。ロキの出生を隠していたこと、懸け橋にしたいといいながらフロストジャイアントは邪悪だという話を否定してこなかったこと、どう考えてもソーとの扱いに差があることなど、ロキに対してもひどいですし、ソーとロキの姉のヘラに対しても、軍国主義時代にさんざん利用したにもかかわらず、平和路線を進むころには厄介になったので幽閉したのは普通にひどい。しかも、その扱いによって暴走した2人を止める羽目になるのは主にソーなので、子供全員に迷惑をかけています。てっきりロキのドラマでオーディンひどい問題に踏み込むのかと思ったらそうでもなかったので残念でした。結局老衰のような死に方で自分の行いを顧みることもなく死んだのでサノスと同じくすっきりしない感じがあります。ロキかヘラに殺されればよかったのに。

 

そう思うとシャン・チーとシャーリンの父ウェンウーは二人に迷惑をかけまくったものの最後には自分で自分が間違ったことに気づき死んでいったのでMCUもクソ父親描写が一つアップデートしたかなと思いました。そして、ウェンウーが死んでいくときに思い出したのがシンエヴァンゲリオンでの碇ゲンドウです。碇ゲンドウも死んだ妻が忘れられず息子に大迷惑をかける父親なわけですが、シンエヴァンゲリオンでは、シンジへひどいことをしてしまったと気づき、心からシンジに謝り、シンジと向き合った結果、シンジの中の妻に会うことができたわけです。ウェンウーの顛末とも似ていますし、何ならそれよりもうまくダメな父親描写とそれでもそこにある希望を書いていたと思います。しかも公開はシンエヴァンゲリオンのほうが早い。天下のMCUよりエヴァが一歩先を行くこともあるんだなとふと感心してしまいました。

ジェンダー方面で批判されることもある庵野監督も時代とともにアップデートしている部分(映像技術以外で)もあることが改めて分かり今後の作品が楽しみです。

 

MCUは個々の作品での頑張りはわかるのですが、アベンジャーズでの養子や女性についての発言など無神経だと思う部分も結構あるので今後も頑張ってほしいとともに、賞賛一辺倒になりがちなシリーズでもあるので無神経なところはちゃんと批判すべきだなとも思います。

それともちろんシャンチーは面白かったので、アジア系主演、アジア舞台な作品が増えてくれるといいなと思います。